Oリングと耐熱性

 シール材としてのOリングは、押し潰して使用するスクイーズパッキンの一種でゴム等のエラストマーがよく使われます。主に流体から装置等を密封(シール)するのに使用されます。工業用素材の中でゴムは一般的に耐熱性に優れた素材ではありませんが、他に類を見ない弾性をもち形状を自由自在に変化させる性質から、流体に対してのシール材としては無くてはならない素材です。使われるシチュエーションは様々で、その用途は液体や気体、プラズマ等流体の種類によって異なります。流体の温度は様々ですが、流体は基本的に固体以外の状態で、高温となることが多く、耐熱性が求められる部分です。この項目では、Oリングと耐熱性について解説していきます。

 

■Oリングに使用される主な耐熱素材(ゴム)

 耐熱素材と呼ばれるゴムの中には、フッ素ゴムやシリコーンゴム等、元々耐熱性に優れたものや従来の素材の配合を改良し、より高性能にしたもの等様々存在します。

略称 耐熱限界温度 使用安全温度
フッ素ゴム FKM 220℃ 200℃~-15℃
パーフロ※ FFKM 320℃ 300℃~-5℃
シリコンゴム VQM 200℃ 180℃~-50℃

【一般的な耐熱素材】
※パーフロはパーフロロエラストマーの略称(温度は配合によって異なります。)

 ゴム素材は日々進化しておりますが、配合を変えると耐熱性の代わりに他の性質が犠牲になることが多く、万能素材というものは存在しません。ここでは素材の選定が非常に重要になります。

略称 耐熱限界温度 使用安全温度
水素化ニトリルゴム HNBR 150℃ 110℃~-30℃
ニトリルゴム NBR 120℃ 80℃~-50℃

【NBRとHNBRの比較】・・・耐油性に優れたNBRの改良グレードとして開発されたHNBRですが、耐熱性が向上する代わりに耐寒性やコスト面が劣ります。

 使用する流体や装置によって、使用可能温度、耐薬品、運動性それにランニングコスト等選定は難しいものです。弊社ではお客様のニーズにお応えできるように一般材料だけでなく、高機能素材であるエグゼウスシリーズ等多様な選択肢をご用意しております。

高機能Oリング 耐熱グレードExezusA101BK(使用可能温度280℃)のコスト

【ExzeusA101BKと他素材の耐熱性とコスト(イメージ)の比較】
※最高使用可能温度・最低使用可能温度は参考値であり、保証値ではありません。

 例えば、コストのかかるFFKMの代替素材として、フッ素ゴムの耐熱性を強化した配合のEXZEUS A101BK等、素材の開発には力を入れております。

 

■Oリングの耐熱性の評価

 Oリングを始めとするゴムパッキンの耐熱性を考える上で重要なのは、耐熱温度※1(瞬間的な使用温度)と使用耐熱温度※2(連続使用可能温度)です。この二つは圧縮永久歪という値で示されております。 
ある一定の圧力と温度を特定の時間加えた後、元の状態に対して、体積がどのくらい変化したのかを示します。弊社ではこの値が50%を超すと、シール性が著しく低下する基準として扱っております。

圧縮永久歪の例

【圧縮永久歪の例】

この図によるとこの素材の耐熱温度は230℃で使用耐熱温度200℃まではあるということになります。※弊社及び材料メーカーが推奨するもので、保証値ではございません。素材選定のおりにはお客様にて事前の性能試験をお願い致します。
  ※1耐熱温度・・・短時間で何度まで、耐えられるかという最高限界温度
  例:オートクレーブ等、一時的に温度が上がるシチュエーション

  ※2使用耐熱温度・・・安全に連続使用が可能な耐熱温度。
  例:恒温槽等連続使用が想定されるシチュエーション
  圧縮永久歪の他にも、ゴムパッキンの耐熱性には「熱老化性」という要素も含んでおります。熱老化とは高温で長時間使用する事により、物性が劣化する事を指します。熱老化が進むと性能が大きく低下するので、そのままの使用は危険となりますので、ゴムパッキンの素材選定をする上では重要です。※圧縮永久歪の試験と熱老化性の試験の内容についてはJISB2401(Oリングの項目)にて定められております。

 

■Oリングに使用される主な素材(ゴム)の耐熱温度

 最後に弊社でOリング等のシール材の製作に使用している主要材料の耐熱温度の一覧を掲載しております。材料選定の参考にご利用下さいませ。

材質名 略称 耐熱温度※3(目安)
ニトリルゴム NBR 120℃
水素化ニトリルゴム HNBR 150℃
エチレンプロピレンゴム EPDM 120℃
クロロプレンゴム CR 110℃
フッ素ゴム FKM 230℃
EXZEUS A101BK※1 FKM 280℃
シリコーンゴム VMQ 200℃
パーフロロエラストマー※2 FFKM 320℃

※1弊社オリジナル耐熱強化グレード
※2弊社オリジナルのEXZEUS B401BKの場合
※3この数値は目安であり、性能を保証するものではございません。お客様にて事前の性能試験をお願い致します。

タガミシール株式会社:[本社/工場(ISO9001取得)]兵庫県神戸市長田区南駒栄町1番170号 TEL 078-646-5331 FAX078-643-6081 ◎営業拠点 倉敷営業所 関東出張所(営業所)
Copyright(c) 2015 Tagami Seal . All Rights Reserved.